良導絡に必要な知識

良導絡に必要な知識
良導絡に必要な知識

目 次

条件反射研究内容より良導絡に必要な知識の考察

  • 条件反射にするための条件を何にするか
  • 刺激を与える土台(人体)について
  • 治療点の考察
  • 自律神経とその作用

良導絡自律神経調整療法の基礎

  • 良導絡自律神経調整療法とは
  • 良導絡について
  • 反応良導点の電流量
  • 良導絡の形態と臨床
  • 良導絡の代表測定点
  • 良導絡支絡について
  • 所謂健康人の良導絡の興奮性
  • 良導絡のカルテの読み方
  • 良導絡興抑と症状
  • 良導絡興抑組合せと症状
  • 良導絡の興奮点と抑制点
  • 刺激部位と刺激の種類が全良導絡調整に及ぼす影響
  • 針について
  • スポット針管による雀啄刺激法
  • 針の消毒
  • ノイロメーータ-の使い
  • 反応良導点治療と全良導絡調整療法
  • 電気針療法
  • 種々の刺激法
  • 種々の局所麻酔法
  • 針の副作用
  • 折針について
  • 良導絡治療の治効機転
  • 良導絡図
臨床応用のための基礎

  • 治療点
  • 経穴・奇穴
  • 感受性
  • 治療点の配置
  • 刺激と興奮について
  • 刺激の種類とその特長
  • 刺激の強さ
  • 針の響
  • 漢方薬について
  • 灸痕の興奮性
  • 条件反射
  • 針の刺入法と痛み
  • 針刺入の方向
  • 針刺入の深さ
  • 針刺入後の技術
  • 刺激量の配置
  • 各種疾患の刺激量
  • 刺針体位
  • 刺針の心得
  • 治療の間隔
  • 刺激の過誤と刺激量の過誤
  • 1ケ所に刺激を与えた場合どのような形態で反応が起ってくるか
  • 各種疾患の治療方針
  • おわりに

自律神経失調症の臨床

  • 自律神経失調症の臨床
    -良導絡自律神経調整療法の立場から-
  • 今井 力 著
    (今井医院/院長)
  • 科学新聞社出版局

本書の原稿を渡され自律神経失調症を研究対象にしている事で、これはただならぬ事であると思った。しかし、考えてみると著者の医学に対する情熱と研究に立ち向かうときの真摯な態度を知っているものとして、どんなものが出来上がっているか、大いに期待するところであった。自律神経失調症の定義については、現在でも色々の立場から論じられているのは、衆知のところである。それにしても大変なテーマに取組まれたものだ。しかし日常の臨床では、誰でもが最も困っている、大きな問題に違いない。今井博士が、大学の研究室で脳波の研究から、循環器病をスコープにして疾病を見ているうち、次第に焦点をこの問題にあてある考えに達したのは当然の帰結であると思う。京都大学中谷先生の創案による東洋医学的思想に裏打ちされ最も近代的理学治療として良導絡理論にこれをもとめ、多年にわたって、自分なりの考えを組立て、確信をもち、根気よく日常の臨床で実践されたものをまとめられたのは良い選択であった。
すなわち内容を一読すると、いわゆる自律神経失調症として多愁訴症候群を取り上げ、これを、科学的立場から、良導絡グラフを用い、数的に表し、治療もこれに従うことを提案している。これに加えるに温泉治療と丹田呼吸治療法、食養生法を取り上げ、自律神経の調整に努めている。ここで多くの治験例を提案して、いわゆる近代的なカイロプラクティックの正しさを示している。さらに良導絡を解説し、交感神経が興奮すると皮膚の通電抵抗が低下する生理的原理を応用して、内臓に異常があればその接近した皮膚上に反応良導点が現われる。この点を治療点として従来の針や灸を用いることを良導絡法中心に置いている。このようにして、良導点を結び、旧来の経絡のパターンと相似したものが現われるが、この系の興奮性を調べ経絡の興と抑を調整する方法に進む。このようにして局所と全体の調整を行なうことをもって良導絡自律神経調整法を成立させようと一貫して論述している。
次第に著者の立場が明確になってゆくにつれて、私自身としては、東。洋医学に対しその難解さを理由として深く勉強しようとしなかった事がふだんだん恥ずかしくさえなってきた。本書はそれほどに、読んでいくうちに著者のゆったりとした、あせらず、一歩一歩つみあげてゆく独特の持ち味が、随所ににじみでていることに感服するのである。そして、知らず知らずのうちに、読了してしまったのがいつわざるとれころである。一読して著者の主張するところの自律神経失調症の大部分が、理解でき安堵し充実感をもつようになったのは不思議である。これは恐らく著者の学識の深さと周到な準備によるものと思う。大学の研究室から一貫して第一線の臨床医学者として、多年に旦る研績の跡がそのままにえがかれたものといっても過言ではない。今井博士の研究と生活がいよいよ充実されんことを願うのは私一人ではあるまい。
終わりにこの方面の研究が本書をきっかけにして、さらに大きな前進をされることを希望してやまない。著者にとっては、大学におられた頃からの宿題であった自律神経失調についての一つの区切りができた事を友人の一人として喜びを分かち合える事を光栄とするものである。本書が広く臨床医学に受け入れられて、啓発する事を大であると思う。
一方では、良導絡自律神経学に興味をもっ同学の仲間が一人でも多くなる事を期待して筆をおく。

1992.4.28
労働福祉事業団千葉労災病院長・千葉大学名誉教授
渡豊昌平

推薦の言葉

この度、「良導絡自律神経調整法の立場から」を主体とした「自律神経失調症の臨床」と題する単行本が、今井力先生の力筆によって科学新聞社から出版されました。序文にもあるように、“自律神経失調症”という言葉は便利だから、一般の人もわれわれも、なにげなく今使っておりますが、誠に漠然とした病気というか症候群というか、つかまえどころのない概念であります。そのくせ、こういった疾患は非常にポピュラーであるため、何とか対処しなければ、“
明日の診療”にも差し支える現状であります。嬉しい事に、この本は、スパリ良導絡の立場から正面切ってこの難解な自律神経失調症に迫ろうというもので、これは正に良導絡治療の本質であり正攻法であります。今井先生は、多くの方々がそうであったように、やはりかつて本人が体調を崩され、自分の健康回復をかねて“この道”に入られたようであります。しかし御気性が物事の真髄までつっこまなければ承服されないいわゆる俊才肌なのでありましょう。勉強を始められてからすぐに後輩を指導する力を体得されました。そして良導絡の奥儀を極め、その本質を見抜いてこのように立派な本まで出版されるようになったわけでありまして、誠に偉とするに足りる壮挙といえましょう。
内容は第1章、第2章でまず自律神経失調症の現代的概念を紹介し、第3章からは良導絡自律神経調整療法の解説をその歴史からとき起こされております。この章だけでも読んで分かり易く、良導絡の入門テキストとしても絶好であります。また勉強して明日から診療に役立てられるよう、要点を図解して解説してあり、診療室の座右の書として用いるのにも役立ちます。第4章以下は良導絡以外の方法による自律神経失調症に有効な治療方法の紹介で、カイロプラクティック、坐禅、気功療法、温泉療法、はては食餌療法まで、その概略が解説されております。“不定愁訴で困っている方々の燈台として、方向を知る助け”に役立つ事でありましょう。カイロプラクティックは日本でもうひとつの感がありますが、かなり詳しく記述されてあり、そのあらましを知るのに役立つ事でしょう。また坐禅は、今井先生がイタリアの支部発会記念講演会で、みなさんにデモンストレーションされておりましたが、バラバラの良導絡チャートがきれいに整うそうで、今井先生自身が3ヵ月間で、難治性の不整脈をこれで克服されたそうであります。そして今井ピルの船掘クリニックでは内科診療に加えて食養生などがそれぞれの専門科によって行なわれ、西洋医学と東洋医学一体のすばらしい治療体系が出来上がっているそうです。
以上本書の推薦と合わせて、この機会に良導洛のますますの普及を願い、あわせて今井先生の御発展と御健康を祈念するものであります。

平成4年4月
良導絡自律神経学会会長・大阪医科大学教授
兵頭正義

自序

自律神経失調症という言葉は一般の人も、われわれ医師もなにげなく使っているが、さてつきつめて考えてみると、一体どういう病気のことをいうのであろうか。われわれ医師の立場からみると各種の近代的臨床検査をしても何も異常がないが、患者本人の苦痛がとれない時の逃げ場として、この病名を使用していないだろうか。患者の方も病名がやっとついて、なんのことやらわからないが、一安心した。という実状なのである。現時点において本症の考え方、および治療方法を整理して、それに良導絡やカイロプラクティックの考えを加え、少し大胆であるが私なりの定義を加えてみた。読者の批判に大いに期待し、少しでもこの方面の知見が増えるように願ってやまない。
筆者は千葉大学で学んだものであるが、この大学は昔から東洋医学研究の伝統があり、当時の第一生理学教室の鈴木教授、眼科の伊藤教授、経絡の長浜博士、漢方の藤平博士等がさかんに研究されていた。眼科には今でも東洋医学研究室があり、皆熱心に勉強しているO
筆者は第二生理学教室の福田教授に特に目をかけていただき、人体生理の研究の面白さ、研究方法を教えていただいた。クロード・ベルナールの実験医学序説をひいて、文献にたよることなく実験によって事実をたしかめ、そして考えることの大切さを繰り返し説かれた。卒業して第二内科に御世話になっても、思師の、故人になられた田坂教授、松本助教授、また長尾、渡辺博士(後に千葉大学教授)にあたたかい御指導を頂きながら、脳波とか、筋電図、心電図など生理学的な手法で研究することを学んだ。その後病院に勤め、また開業してからもこの手法をたゆまず実践してきた。
この間にあって、京都大学の中谷義雄先生の創案された良導絡理論に遭遇、この理論は東洋医学的思想に裏うちされた最も近代的な理学治療理論であって、大変魅力のある学説であったので、昭和51年に日本良導絡自律神経学会の会員となった。そして臨床研究を続ける中に、東日本の支部の事務局をひきうける事になり、いそがしい日々を送った。本部の事務局長の小川常雄氏から特に良導絡のテキストを編集する様要請され、できたのが第三章の良導絡自律神経調整療法で、兵頭会長はじめ会員の方々の御指導と努力の成果をまとめであるので、この章単独でテキストとして用いられるよう工夫した。筆者は良導絡理論に基づいた良導絡グラフによって一定の規準をもうけ、自律神経失調症の診断と治療を行ってみた。また頚椎症は多彩な自律神経症状を示すので特に重要で、この場合カイロプラクティックの知識は大変参考になるので第四章として独立してまとめておいた。また、丹田呼吸は筆者の研究によると良導絡グラフに良い影響があり、特に坐禅は心の問題に関連して大事な事なので第五章にまとめた。気候温泉療法は新鮮な空気と温泉効果および転地等の効果があり、自律神経失調には特に良いと考えている。
最後に食餌は毎日とるもので、肉体を形造る元であるから、その成分は極めて重要である。ここでは自然食を重視し、血液を酸性にする肉食等は制限することをすすめた。これらの治療法はすべてお互いに補いながら併用したり取捨選択する必要があろうが、賢明な読者諸氏にまかせたい。すがるすべもなく放り出されて困っている人々がすこしでも少なくなるよう祈る次第である。

伊豆高原山荘にて筆者

目 次

第一章 概論

第二章 自律神経失調症
A.自律調節の生理

    (イ)自律神経系

    (口)内分泌系

    (ハ)免疫系

    (二)各種の自律調節

B.自律神経失調症の概念

    (イ)現代医学的考察

    (口)良導絡理論導入による考察

第三章 良導絡自律神経調整療法
A.良導絡測定法

    (イ)沿革

    (口)良導絡のあらまし

    (ハ)良導絡とは

    (二)良導絡理論

        i.皮膚通電抵抗について

        ii.内臓皮膚反射について

        iii.生体膜の構造

        iv.自律神経

        v.良導点

    (ホ)良導絡を理解するに必要な解剖と生理

    (へ)良導絡で分かる事

    (卜)良導絡記録の実際

    (チ)良導絡専用カルテの読み方

    (リ)コンピューターによる測定の利点

B.良導絡治療法

    (イ)総説

        i.全良導絡調整治療

        ii.反応良導点治療

        iii.針刺入の方法

        iv.針刺入の方向と深さ

        vi.刺激の強さ

        vii.刺激量

        viii.禁忌と注意

    (口)各論

        i.基本点治療

        ii.主要治療点の探索法

        iii.疾患別治療点

        iv.各良導絡有効治療

    (ハ)応用編

        i.低周波置針通電法

        ii.円皮針通電療法

        iii.井穴刺絡

        iv.眼針法

        v.頭針療法

        vi.新しい頭針療法

        vii.耳針療法

        viii.皮内針法

        ix.銀粒貼布または磁石貼布療法

    (二)各種疾患に対する臨床の実際

        i.消化器疾患

        ii.呼吸器疾患

        iii.内分泌疾患

        iv.代謝-栄養障害

        v.結合組織病(膠原病)

        vi.アレルギー性疾患

        vii.循環器疾患

        viii.神経筋疾患

        ix.痛みと良導絡
        x.泌尿器科疾患

        xi.運動器疾患

        xii.女性性器疾患

        xiii.産科疾患

        xiv.皮膚疾患

        xv.精神科疾患

        xvi.眼科疾患

        xvii.耳鼻科疾患

        xviii.癌

        xix.小児針の種類と手法

        xx.救急法

第四章 カイロプラクティック
    i.頸椎症とカイロプラクティック

    ii.アトラス・オーソゴナル治療法

第五章 自律神経失調症の治療
A.現代医学的治療法

B.東洋医学的治療法

    (イ)漢方

    (口)灸療法

    (ハ)大極拳

    (二)気功療法

C.丹田呼吸法(坐禅)

    (イ)坐禅

    (口)調和呼吸道

D.温泉気候療法

    (イ)ドイツ

        i.バート ナウハイム
        ii.バートリプシュプリンゲ

        iii.バートエィンハウゼン

        iv.バートネルンドルフ

        v.バーデンバーデン

        vi.バーデンバイラー

        vii.バートノイエナールアールバイラー

        viii.まとめ

    (口)チェコスロバキア

        i.マリアンスカラズネ

        ii.カルロビイバリー

    (ハ)アメリカ

    (二)日本の温泉

        i.鹿教湯温泉

        ii.伊豆韮山温泉

        iii.沢渡温泉病院

        iv.伊東温泉

        v.湯河原温泉

        vi.熱海温泉

        vii.日本温泉協会資料による主要温泉病院の紹介

E.食餌療法

結語

船堀クリニック

文献

今井医院・今井治療室
今井医院

〒132-0032 東京都江戸川区西小松川町17-10
電話 03-3651-0025
今井治療室

〒134-0091 東京都江戸川区船堀3-7-1今井ビル
電話 03-3675-4560
Email: info@imai-t.com

最新良導絡の臨床の実際

  • 最新良導絡の臨床の実際
  • -1973年発行 復刻版-
  • 中谷義雄 著
  • (良導絡研究所長/所長)
  • 環境出版社

復刻版に際して

中谷義雄先生の、復刻版「最新良導絡の臨床の実際」は長年復刻を待ち焦がれていた貴重な書籍の一つです。ハリ治療に専従する先生には必携の書籍といえましょう。良導絡の概念をを知ることで、ハリ治療とヒトの自律神経の反応をとらえることができます。しっかりした理念の軸に基礎をおいて治療に専従するための礎になる名著といえます。

医療法人社団 医経会 武蔵野病院院長
東京医科大学名誉教授
日本良導絡自律神経学会会長
伊藤樹史

序文

良導絡自律神経調整療法は、良導絡を介して自律神経を調整する治療法でありますが、良導絡というのは内臓に病気がありますと体表(皮膚)に特定の電気の通り易いスジの様な連絡の系統ができます。このように電気の導かれる連絡の系統という意味で、この良導絡の形態が3000年前に中国に於て発見された経絡という形態に、ほとんど瓜二つといっても過言ではありません。それで、良導絡の研究は針灸の科学的裏付とか、証明といわれていますが、針灸療法を、そのまま裏付けたものではなく、異なった面から研究していったものが、結論的に同じ所に達して、針灸の古典は経験臨床的に体表の交感神経の機能を観察し、私は皮膚通電抵抗を介して、同ーの体表の交感神経の機能を観察したわけで、同ーのものを異った立場から研究したことになります。従ってよく似た現象が現われることは当然でありますが、ある程度異った結果のでる事も当然であります。
良導絡の先祖は経絡ではなく体表の交感神経の機能ということになります。それは人間の祖先が猿ではないということと同じであり、人間の祖先と猿の祖先が同じということであります。針灸は、あらゆる面に於て、主観的なものが多く、良導絡は客観的に数的にこれを把握しております。これが科学の根本であります。科学に立脚してこそ医学ということになります。如何に単に良く効くからといっても、科学的でないと将来の発展が、のぞめません。私は針灸そのものを発展させようとは考えておりません。針灸を科学化した良導絡を医学として近代医学の中で発展させようと考えています。
東西医学を比較してみた場合、東洋医学は2000~3000年以前の医学であり、顕微鏡の発見されていなかった時代であります。従って細菌を知らなかったわけでありますが、流行性の伝染性疾患は疫病としてとらえて知っていたようであります。又その当時の法律によって中国では人体の解剖が禁止されていたために解剖学が、あまりにも幼稚であった。そのため基礎学も幼稚であり、従って理論展開の中に大きな弱点を作ってしまいました。しかし長い臨床的経験や外界からの種々の観察によって生理学的な面に於てはかなり綜合的な考え方をもち、人体を小宇宙と考え哲学的ではありますが、大極的に重要なポイントを正確につかまえていたといえます。
経絡現象を脈診によって知り、針灸刺激や薬物を用いて調整していたわけですが、自律神経の作用が解明されている現在、これらの神経が如何に重大なる意義をもっているか理解されるはずであります。この様な大長訓をもってはいますが、外科学や細菌性疾患では東洋医学では弱点もあり、東西医学何れにも長短所のあることがわかります。近代医学は微にいり細にいり分析的にはかなりすぐれた研究もあり、長足の進歩をとげてきておりますが、東洋医学は2000~3000年前のものが、理論は別として、そのまま臨床に用いて、近代医学でも治せないものが治せるといった経験の集積といった長所をもっています。しかし、その後理論面、基礎的研究は全く進歩せず今日に至り、良導絡の研究をのぞいては経穴経絡といった基本的なものも、ほとんど解明されていません。
近代医学では、治療といえば薬物というように薬物に重点が置かれていますが、東洋医学では湯液と針灸が車の両輪の様に同等に重視されてきたのであります。私は良導絡を理学療法として発展させ、針灸医学の精神(いわんとしているところのもの)を科学的な立場から検討を加え新しい分野の研究から、おしちぢめてゆき、理学療法の基礎にしたいと考えています。私は霊枢の中に“針は単なる先のとがった針金にすぎないが、これは人を活かす活人の針であり矛や盾が如何に進んだとしても、所詮、人を殺す殺人道具にすぎない。ここに尊卑きわまる”という文を読んで感銘を受けました。如何に科学が進んでも、哲学的な医者の良心、倫理をわきまえていなければ、心臓手術の様に人間をモルモット化するような行為を起してしまいます。人工心臓をもっと研究するか、動物実験で、もっと危険性のないところまで実験が行われてから、とりくむべきで如何にも功をいそいだという感じがもたれます。長年の経験・歴史をもった針灸を科学化し、理論づけられたことは東西医学の対立ではなく近代医学の中での融合であります。針灸は科学化されて良導絡となり近代医学の中で、より発展させるべきであります。患者はそれをのぞんでいます。もう針灸を頭から迷信視する医師は、あまりにも勉強不足であるといえる時代がきました。新しい理学療法の発見の為に私は今後も頑張りたいと考えています。

1973年2月27日
良導絡研究所長
中谷義雄

目 次

第一章  良導絡の基礎編
①良導絡自律神経調整療法とは(自律神経の作用)
②皮膚通電抵抗と良導絡(分極について)
③良導絡の形態
④良導点と良導絡の興奮性
    1) 良導点, 反応良導点の興奮性
    2) 良導絡の興奮性
⑤良導絡測定カルテ
⑥生理的範囲の求め方
⑦良導絡の興抑と症状
⑧良導絡の不問診
⑨良導絡を調整するには興奮点・抑制点
⑩刺激について
⑪刺激量について
⑫刺激の与え方
    1)電気針
    2)電気針の雀啄
    3)電気針の刺入の方向及び深さ
    4)針の副作用
    5)刺激の配合
    6)刺激の間隔

第二章  臨床に必要な知識

  • ①良導絡治療によって効果のある疾患
  • ②私の常用治療点
  • ③特効治療点
  • ④兪穴と募穴
  • ⑤効果をより高くするには
  • ⑤治療方針

第三章  良導絡臨床編

  • ①全良導絡調整療法
  • ②反応良導点治療
  • ③後記

復刻に当たって(あとがき)

私1973年発行、中谷義雄医学博士の名著、「最新良導絡の臨床の実際」を復刻することができました。日本の医師によって、東洋医学でいう処の経絡が科学的に理論化されたものであり、統合医療で注目される貴重な書籍です。この本を復刻するに当たり、良導絡自律神経学会の会長伊藤樹史先生、副会長後藤公哉先生、森川和宥先生、橋口修先生、桑原俊之先生等諸先生、並びに、故成川洋寿先生にご指導いただきました。また、ご協力いただいた良導絡研究所の長友大樹氏等、諸氏の方々に深く感謝申し上げます。

平成22年3月吉日
株式会社環健出版社 代表取締役
佐藤公彦

Ryodoraku Autonomic Nerve Regulating Therapy

  • Japanese Society of Ryodoraku Medicine (J.S.R.M.)
  • \2,500

I. Introduction

Developing speed of medicine is remarkable, so nowadays the studding fields would be subdivided. And Dr. Nakatani Yoshio who is originator, on the domain of acupuncture and moxbusion medicine has diversified the stuck of these data, since the theory of Ryodoraku has discovered on 1950. After the discovery, theoretical outline of the logical method seems to remarkably contribute to the scientific study on acupuncture and moxibusion.
The study of Ryodoraku has observed function of sympathetic nerve on surface of skin through dermal Electro-conductivity. Consequently Ryodoraku found a correlative shape of organs, and it built systematic theory and therapy method. Accordingly the ancestor of Ryodoraku shouldn’t be meridians and collateral but the function of sympathetic nerve on surface of skin.
Although acupuncture and moxbusion has three thousand historical experiences, it has many subjective rules of all aspect. On the other hand, Ryodoraku grasps objectively and numerically of their rules. This thinking is the foundation of science; therefore Ryodoraku is true medicine because it based on science.
Recent years, the developing speed of science is remarkable, diagnosis occupied main current by the computerized intelligence management on the field of medicine. Therefore it is asked necessity of objective thinking instead of former subjective thinking.
On this point of view, Ryodoraku therapy aims to scientific way of acupuncture and moxbusion. Because Ryodoraku is practiced on objective viewpoint from measure, diagnose to therapy by using statistic management since early times. So we can expect satisfactory effect when we practice to our therapy bn the base of logical outline of Ryodoraku.
Moreover Ryodoraku therapy take in advantage of computerized software management in therapy of oriental medicine. Ryodoraku is ideal therapy method existing on combination with thought of oriental medical theory and modem westem medical theory. In this way, Ryodoraku is one of necessary therapy method in such times.
By the way, this fundamental volume of Ryodoraku is translated from my book Ryodoraku Therapy: Bridging Two Worlds. I hope this textbook would be useful for doctor who wants to begin Ryodoraku therapy from now on.

Vice Chairman, Science of J.S.R.M.
Goto Kimiya, A.L.Ac.,A.R.M.S.

Contents

I. Introduction

II. Ryodoraku Autonomic Nerve Regulation Therapy

  • Basic outline
  • Ryodoraku and the Autonomic Nervous System
  • Ryodoraku Representative Measuring Points
  • Measurement Guidelines
  • Ryodoraku Representative Measuring Points Hand& Foot Channels
  • Advantages of the Ryodoraku Measuring System
  • Explanation of the Ryodoraku chart
  • Physiological Range
  • General Interpretation of Extrordinary Ryodoraku Channels
  • High Physiological Range
  • Low Physiological Range
  • Physiological Range
  • Magnified Measurement
  • Hand and foot Cannel Separation
  • Variation in Left and Right Sides of a Channel
  • Diagram of Tonification and Sedation Points
  • Selecting Tonification and Sedation Point
  • Note on well point
  • Ryodoraku Diagnosis Ryodoraku Symptoms Chart Hand& Foot Channels

III. Ryodoraku Chart Patterns

  • Physiological Range Patterns
  • Individual Channel Patterns

IV. Stimulation Tools and & Techniques

  • Situation Tools
  • The neurometer
  • Stimulation Techniques
V. Treatment Strategy

  • Basic Regulating Therapy (Root Treatment)
  • Tonification and Sedation Points
  • Selecting Toninication and Sedation Points
  • The Five Phases
  • Stimulation of Tonification and Sedation Points
  • Note on F4-BL
  • Basic Regulating Points
  • Ryodoraku and Oriental Diagnosis
  • Reactive Electro Conductive Points Therapy (Branch Treatment)
  • Stimulation and Point Selection in Branch Treatment
  • Root and Branch Treatment in Practice

VI. What is Ryodoraku?


GOTO ACUPUNCTURE CLINIC
Zip 221-0076
2-8 Shirahatacho Kanagawa-ku Yokohama Japan
Phone
045(401)3917 Fax 045(401)7389
Email: go0101@mx4.mesh.ne.jp


Japanese Society of Ryodoraku Medicine (J.S.R.M.)
Department of Acupuncture in Kansai University
of Health sciences
Zip 590-0482
2-11-1 Wakaba Kumatori-cho Sennan-gun Osaka Japan
Phone
072(453)8113 Fax 072(453)8137
Email: kibi@kansai.ac.jp